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コーチングの元祖ルータイスの著『アファメーション』

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アファメーション

コーチングの元祖、ルータイスとは

コーチングの元祖で、コーチングにおける苫米地さんの師匠であるルータイスの著作です。

ルータイスは高校教師、フットボールのコーチを得て、当時スタンフォード大学心理学者でアメリカ心理学協会会長であったアルバートバンデューラと共にコーチングのメソッドを開発しました。ルータイスのコーチングは米軍をはじめとする世界中の組織で取り入れられています。そして2012年に亡くなっています。以下の苫米地さんのブログの記事が詳しいです。

ドクター苫米地ブログ − Dr. Hideto Tomabechi Official Weblog : ルータイスが亡くなりました - ライブドアブログ
ドクター苫米地ブログ − Dr. Hideto Tomabechi Official Weblogのブログ記事。Powered by ライブドアブログ。

本書は以下の本の日本語版になります。

内容はコーチング全体の流れを説明すると同時に、その中心となる技術”アファメーション”をどのように行うかということです。

原書は初版の1995年です。なのでコーチングの内容としては最新のものではないのは注意が必要です。

全部で416ページあり、2017年9月現在まだ電子書籍化されていない(英語版はKindle版がありますSmart Talk for Achieving Your Potential (English Edition))ので、かなり読み応えがあります。

アファメーションの要点だけ知りたい場合は、簡易版とも言える苫米地さんの著書『「言葉」があなたの人生を決める』があります。また、本書でも苫米地さんが監修とまえがきを書いています。

本書の内容と最新のコーチングの理論と違いについては、本書の特典音声『アファメーションの基本』の中で苫米地さんが話しているので、それを参考にするといいでしょう。

では416ページもある本書を読む価値はあるのでしょうか?結論から言うと、その価値は充分あると思います。

現在の現実は固定されていない

同じ内容でも苫米地さんとルータイスでは違う表現をしたりします。別の表現で読むことによって、コーチングを多角的に学ぶことができ、新たな発見があったりするかもしれません。

苫米地さんはホメオスタシスは精神にも適応され、それを防ぐためにはゴールを現状の外に置く必要があるとよく言います。

ルータイスは『現在の現実は固定されていない』というふうに表現しています。

高パフォーマンスの人たちは、ホワイトヘッド的な世界に生きています。彼らにとっては、現状は一時的なものでしかありません。「人生はこういうもの」と言う代わりに、彼らは毎日、新しい現実を築いてきます。

何もせずに運命を呪ったり、誰かが変えてくれることを望んだり、宝くじに当たることを期待したりしません。彼らは”自分の力”で変化を生み出していきます。

おそらくあなたは、自分が「持って生まれた」側か、「持たずに産まれた」側か、そのどちらかだと信じるように洗脳されてしまっています。41ページより

周りに洗脳されて現状の自分があるというのは、苫米地さんもルータイスも同じのようです。

成功者との比較で読者の心境を代弁して、はっぱをかけるような形で表現しているのは、ルータイスの特徴と言えます。

他人や組織に対するアファメーション

苫米地さんの本では個人に対するコーチングである”パーソナルコーチング”と組織に対するコーチングである”コーポレートコーチング”に分けられています。

本書では基本的に個人に向けていますが、他人や組織に対するものを扱った章が存在するので、コーポレートコーチングの観点からも、本書は役に立つと思います。

詳細は本書を読んで貰うとして、基本となる考え方は『人々を変えず、自分を変える』というものです。他人に影響を及ぼしたければ、まず自分から変えないといけないということ。

これだけでなく、人と人との対立がどのようなメカニズムで起こるのかを書いているのは特筆に値すると思います。

苫米地さんは『コーポレートコーチング 上』の中で、組織に対してコーチングをする場合、まずは経営幹部たちから、つまりトップダウンでコーチングをおこなっていくと書いていましたが、本書を読んでそれが理にかなっていると思いました。

アファメーションの先へ

本書にはアファメーションの先のことまで書かれています。それは『スマートウォーク』です。それはアファメーションによってエフィカシーを上げ、具体的に行動すること。

スマートウォークは以下の7つのステップに分けています。

  1. 自分のパフォーマンスを模擬体験する
  2. 今すぐに始める、好機を待っていてはいけない
  3. 有言実行
  4. 機会を見つけ、逃がさない
  5. 前進するには失敗も必要
  6. 正しい行動を体に覚え込ませる
  7. 自分を偽らず、責任を引き受ける

266~282ページより

この中で、私が印象に残ったのは2と5です。

2の『今すぐ始める、好機を待ってはいけない』というのは、しっかり準備ができるのを待つのではなく、行動を起こしつつ前を進むこと。本を読んだりセミナーに参加して知識だけを仕入れるのは時間の無駄。『実行を伴わない計画は自分に対する不正』とまでルータイスは言い切ります。本書を読んだ読者にありがちな状態に釘を刺しているのです。

これは江戸時代の陽明学の”知行合一”に近い考え方だと思います。幕末の志士たちはこの思想に影響をうけ、行動を繰り返して最終的には倒幕を成し遂げたのです。

5の『前進するには失敗も必要』というのも苫米地さんとはかなり違った表現だと思いました。失敗を恐れるのではなくて、小さな一歩を積み重ねることがエフィカシーの向上につながるとルータイスは言います。

ルータイス自身の物語

本書はコーチングの方法論だけでなく、ルータイス自身がいかにして世界的コーチと言われるようになったかの物語がところどころに入っています。これは小説のような書き方がされています。

例えばルータイスが高校教師をやめて、コーチングの会社を立ち上げたときの状況です。銀行には1000ドルしか預金が無く、養うべき子どもが9人いたこと。そして(本人としては一番上等だが)安いスーツを着て各地で無料のビデオ上映会やセミナーを行ってうまくいかなかった時のことです。

ボイジーの空港で、同僚のブライアン・ケイシーに、「どう思う、ブライアン? なぜうまくいかなかったのだろう?」と尋ねてみました。

(中略)

「可能性の実現について訴えようとしてるのに、君のその姿じゃ説得力がないよ」

ダイアンと私のスタートの状況を知れば、みなさんはこう言うでしょう。「ルー・タイスが袖に値札がついたままのスーツや、ひどいミスマッチの上下で軍や産業界や教育界、政府の指導者にまで影響を与えられるのなら、私だってこのプロセスを使えば。大きなことができる」

この本を読むときには、つねに私たちのスタート地点を忘れずにいてください。20ページより

必ずしも成功談だけではなく、失敗談を反省する形で書かれていることが多いのです。これが非常に共感できるし、コーチングの方法論に説得力を増すのです。最初にかいたとおり、本書はページ数は多いですが、すんなりと読むことができるでしょう。

苫米地さんの本にはこの視点が少ないと思います。もちろん苫米地さんも試行錯誤しながら現在のポジションにいるわけですが、本や動画では苫米地さん自身のすごいところを強調するような場合が多いのは事実です。このことが原因で反発したり、逆に苫米地さんだからできるのでは?(私にはできない)というように、エフィカシーを下げてしまう可能性があります。

ルータイスの物語にはそういったことがなく、引用部のように「ルータイスですら最初はそうなのだから、自分だって大丈夫だ」というふうに、勇気づけられるのです。。苫米地さんの本が苦手な人にも自信を持ってオススメできます。

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