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苫米地英人の記憶術!?『苫米地流「超記憶術」』

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苫米地流「超」記憶法

本書は苫米地さんによる記憶術が主な内容です。

健康法から能力開発まで、一通りの本は書いているのが苫米地さんではないでしょうか。

記憶術については、既にかなりの数の本が出版されています。あなたも本屋やAmazonなどのサイトで見かけたことがあるかもしれません。

古くは紀元前86年~82年に書かれたとされる『ヘレンニウスヘ: 記憶術の原典』がありますし、科学ジャーナリストが一年間記憶術の特訓をして記憶力の大会で全米チャンピオンになった過程が書かれている『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』という本もあります。

古代から現代にいたるまで記憶術の需要は常にあるようです。

苫米地さんは、そんな記憶術に対して苫米地さん独自のアプローチを本書の中でしていきます。記憶の仕組みやどうやって覚えるのかという具体的なトレーニング、記憶に効果的な睡眠法。

そして記憶術を身に付けたその先のことまで書かれています。

記憶のメカニズム

記憶とは何か?苫米地さんは機能脳科学の観点から解説します。

記憶とは曖昧なもの

苫米地さんがよく具体例で出すのが、自分が普段している時計の絵を時計を見ずに書いてみるというもの。時計がない場合は自分のスマートフォンや携帯電話でもいいそうです。

実際やってみると、大まかな形くらいしか書けないのがほとんどだと思います(私も書けませんでした)

毎日見ているはずの時計やスマートフォンであっても、大まかな形は思い出せても、細部を正確に記憶しているわけではないのです。

これを苫米地さんは人間にとって必要なことだといいます。

例えばあなたが半年ぶりに友人と会ったとします。半年も経てば髪型が違ったり、ファッションの傾向が変わっていることもあり得ます。しかし、髪が伸びようが服が変わっていようがあなたは友人を、半年前の友人と同一人物だと認識できるのです。

脳は新しくて重要な情報を記憶する

記憶には短期記憶と長期記憶があります。

短期記憶にストックされた情報が、長期記憶にストックされるか、削除されるかを脳が睡眠中に選別しているのです。

この選別の基準は2つあると苫米地さんはいいます。

知っている情報なのか新しい情報なのか

人間の脳というのは効率よく動くようになっているものです。手抜きがうまいという言い方もできます。

物事などの情報を記憶する作業は大変です。そこで、脳は新しい情報を優先して覚えて、既に知っている情報は(労力を節約するために)覚えないという現象が起きるわけです。

この原理を苫米地さんは「スコトーマ(盲点)」といいます。本書に限らす、苫米地さんの本ではよく出てくる概念です。

重要かそうでないか

脳が効率的であるため、重要な情報を優先的に覚えます。自分にとって重要でない情報は消去します。

では重要な情報とは具体的にはどういう情報でしょうか?

脳の記憶の基本機能は「失敗駆動型」だと苫米地さんはいいます。つまり失敗が起きたときに重要だと判断するわけです。

あなたも過去に失敗した記憶はすぐ思い出せることに気づいているかもしれません。失敗にもいろいろありますが、ささいな失敗ではなく、大きな失敗や命に関わる失敗などは強く記憶されるのです。

失敗とは必ずしも本人の失敗とは限りません。トラウマやPTSDなどは記憶のこの機能が悪い方向に働いてしまった結果ではないでしょうか。

苫米地英人の記憶術

本書では大きくわけて2つの記憶術が書かれています。

脳を騙す予測記憶法

先ほど脳は失敗した記憶を重要だと判断するため覚えやすいと書きました。この仕組みを応用したのが予測記憶法です。

例えば、仕事でなにかトラブルが起きたとき、必ずどこかに失敗があり、必ずどこかに期待外れ(思惑違い)があります。そして、私たちが仕事でもっとも正確に、そして実用的に覚えるときというのはトラブルが起きたときです。トラブルによって、自分の間違いと本当に覚えるべきことを覚えていくわけです。

(中略)

つまり、脳を騙すには自分から失敗すれば良いのです。しかし、ここで早とちりをしないでください。失敗すればよいからといって、わざと試験に落ちたり、仕事で失敗したりするのはやり過ぎですし、損失が大きすぎます。実用的でもありません。

(中略)

その方法が「予測記憶法」です。

これは読んで字の通り、覚えたいものを先に予測して、その予測が外れることによって。「あ、失敗した。間違えた」と脳に認識させることで、長期記憶へと導く方法です。この「あ。間違えた」という認識が記憶のインデックスになるのです。

(中略)

ただし、注意してほしいのは「なんだ。ワザと間違えればいいんだ」と軽く思わないでほしいということ。いくら失敗駆動型だと言っても。そのレベルでは脳は騙されはしません。予測するときには、しっかり本気で予測しなければいけません。

№311~312

例えば英語学習であれば、英語の文章を読むときに、先に何が書いてあるか予想したり、ネイティブの会話を聞いて話の展開を予想するなど。

資格試験であれば、過去問などを見て問題の答えを予想して、すぐに正解を確認する・・・といったやりかたも考えられます。

予想→答え合わせ→外れるというサイクルを行うことによって、長期記憶に定着させるのです。

写真記憶法

これは見たものを写真のようにそのまま記憶する方法です。

苫米地さんが研究者時代に行った人間の脳をデータベースの変わりにする実験が元になっています。

変性意識状態になる

写真記憶法の前段階として、変性意識状態のなることが必要だといいます。

変性意識状態とはトランス状態で、なにかに夢中になっている状態を指しています。好きな曲の歌詞であったり、好きな映画や小説のセリフやストーリーなどは時間をかけなくても覚えるし、忘れにくいでしょう。それと同じことです。

変性意識状態の詳細とトレーニングについては、『自分のリミッターをはずす! ~完全版 変性意識入門』が詳しいです。私もレビューを書いています。

『変性意識入門』の中で、東大生や高級官僚は変性意識状態になりやすいと書いてありましたが、東大や国家公務員試験に合格するためには、圧倒的な記憶力が必要です。逆にいえば記憶力を強めるために自ら変性意識状態になれれば有利だということです。

とはいえ、記憶することを目的とするのであれば、深い変性意識は必要なく、軽い変性意識状態でも大丈夫だといいます。

写真を記憶して絵にする

その訓練方法とは、「あらかじめ用意した写真の風景を覚えて絵に描く」ということです。

たったこれだけです。ただし、ちょっとしたやり方が必要です。それが、さきほどから言っている変性意識です。

(中略)

自分の心の操作も重要になってきます。それが「心にポイントを打つ」ということです。心にポイントを打っておくと、記憶するきっかけになりますし、それ以上に思い出すときのインデックスとしても使えます。

(中略)

具体的な手順は以下の通りです。

1 覚える光景をカメラで撮っておく。

2 取った写真を見る。心の中で「カシャ!」とシャッターを切る。

3 覚えた光景を絵で再現する。

4 写真と自分が書いた絵を見比べる。 №437~438

心にポイントを打つ方法として、写真を撮るように心の中でシャッターの音を再現します。

インデックスとは索引のこと。これがあることによってあとで思い出すのが容易になります。

人によって適性はありますが、苫米地さんは訓練しだいで誰でも写真記憶法は身に付けることができるといいます。

その他の方法

上の二つの方法が苫米地さんの記憶法の基本になります。

その他、試験前やテスト前に役に立つ先行記憶法や、睡眠法などが書かれています。また奨励はされていなせんが、テスト前日に徹夜で暗記する方法も。

もちろん、徹夜で暗記ではなく前もって準備して万全の状態にしておくほうがいいですが、緊急時に使える方法までカバーしているのは極めて実用的です。

記憶術を超えて

ここまでの記憶術だけでも、既存の記憶術の本と比べて画期的だと言えます。しかし苫米地さんの場合はその先があるのが特徴です。

本書の副題に『なぜ、記憶術を鍛えることで人は超人になれるのか?』とついています、

記憶術は何のためにあるのでしょう?記憶力を鍛えて、知識を定着させることが資格を取ったり、学業やビジネスで有利に繋がると考えているから。

これらは言ってみれば煩悩ですが、この煩悩は否定するべきでないと苫米地さんはいいます。むしろ煩悩を逆に利用して、夢を見つけたり、自分のゴールを達成しろといいます。

煩悩とは目標設定をするときに使うものなのです。目標設定のときには理性を使おうとしてはいけません。理性を使おうと思ったその瞬間とは、実は不安が頭をよぎったときなのです。そうすると、人間は目標を下方修正してしまうのです。企画会議のときに「それは無理だ」「前例がない」と言ってしまうのです。そのが無意味であることは既に前章でお話した通りです。

煩悩を使って目標設定をしているとき、人は楽観的になっています。わかりやすい言葉で言えば、脳天気です。この状態のとき、人は自分の本当に望んでいることがスッと出ます。逆に言えば、人は普段自分の望みすらなかなかわからない、まだるっこしい存在なのです。

(中略)

上向きの煩悩を維持していれば、設定目標をそう簡単には見失いません。なぜなら煩悩は強い情動だからです。そこにきちんと目標を埋め込んでおけば、自分のなすべきことを簡単に忘れたり、諦めたりはしないのです。

さて、いま言ったことが前章の最後の部分で低次した「私たちが本当にほしいモノはなにか」という質問に対するひとつの答えです。つまり、煩悩という強い情動を極限まで大きくしてみることです。するとほしかったモノの本当の姿が見えてくるようになると私は思っています。

№1151

ゴールの達成のために煩悩を利用する。煩悩のための道具として記憶術がある。

記憶術の本であっても、苫米地さんの主張は、けっしてぶれていないと思いました。

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