苫米地英人の英語学習法『英語は逆から学べ!』シリーズまとめ

英語は逆から学べ!~最新の脳科学でわかった!世界一簡単な外国語勉強法~特殊音源CD付き(全外国語対応)

英語は逆から学べ!とは

『英語は逆から学べ!』は苫米地さんの英語学習法が載っている本です。

逆から学べとはどういう意味でしょうか?

結論から言うと、ネイティブのように学べというのです。現在の日本人が行っている英語学習は、苫米地さんによると大変非効率で、効果が薄い。認知科学の知見や苫米地さん自身の経験から、ネイティブのように英語を学ぶほうが効率がよく、効果が高いというのです。

そのための理論や具体的な学習方法などが書かれています。すべての本にCDが付属してるのが特徴です。余談ではありますが、英語以外の言語にも応用できると苫米地さんはいいます。

『英語は逆から学べ!』シリーズで累計50万部を超えたらしく、苫米地さんの本の中でもベストセラーと言えます。英語学習の記事はネットでもよく話題になっているので、一定の需要はあるのではないでしょうか。

この学習法に沿った本は全部で5冊出版されていて、

の4冊とシリーズの単語編である『脳単マッピング〜英語は逆から学べ!英単語編〜【通勤・通学で聴くだけで単語が増えていくCD付】』になります。本記事では上の4冊の内容をレビューしていきます。脳単マッピングについては以前にレビューを書きました。

苫米地英人の英単語『脳単マッピング1000』
『脳単マッピング1000』のレビューです。苫米地さんによる英単語帳になります。

また本書の方法論を元に作られた英語教材ブレインラーニング+ブレインスピーキングについては以下のレビューを参考にしてください。

TOEIC430点→650点!?苫米地英人の英語教材『ブレインラーニング・ブレインスピーキング』
2018年7月29日に、第232回TOEIC Listening&Reading公開テストを受験しました。 先日結果が発表され、スコアは640点。前回受験したときのスコアは430点だったので、210点のスコアアップとなりました...

既存の英語学習法の問題点

既存の英語教育や英語学習法は数多くあります。それらに問題があるから、英語難民だったり英語学習法コレクターが出てしまう。本書で苫米地さんはその理由をいくつか挙げています。

文章や単語の中に意味はない

英語学習、特に義務教育では英語から日本語に訳したり、日本語から英語にすることは一般的です。これらは無駄だと苫米地さんはいいます。なぜなら、文章や単語の中に意味はないからです。

ある特定のものや状況があって、それを説明するために初めて文章や単語が使われます。しかし、同じ文や単語でも複数の意味を持っている場合があります。

例えば、”アップル”という言葉を聞いたときに、それだけだとリンゴのことなのかApple社のことなのか、iPhoneやMacBook airなどの特定の端末のことを指しているのかわからない。

仮に果物のりんごとしましょう。一口にりんごといっても、ふじ、つがる、王林、ジョナゴールドなどたくさん種類があって、見た目も味も違います。りんごという言葉を聞いたとき、私とあなたで頭の中に浮かんでいるものが同じとは限らないのです。

だから文章や単語を聞いたり見たとき、私たちは前後の文脈やその場の状況などをふまえて適切な意味を無意識に選択しています。

また、コミュニケーションというのは、言葉だけでなく、ボディランゲージや表情、その場の状況などを使って行うもの。これは英語だけでなく、日本語でもいえることです。

これらを考えていくと、文字だけをみて日本語を英語に訳したり、その逆をするのはトレーニングとして適切ではないことがわかります。

英語学習でも単語や文法を単独で学習するのではなくて、英語のネイティブスピーカーとさまざまな状況下でコミュニケーションをとり、自然に覚えていくのが理想的なのです。

日本語脳を活性化させてしまう

バイリンガルは二重人格 (フォレスト2545新書)』で書いているように、英語と日本語を両方話せる人(=バイリンガル)は、英語と日本語で人格が違うといいます。これは苫米地さんだけではなく他の人も主張しており、さまざまな実験で得られた知見のようです。

バイリンガルは二重人格?話す言葉で性格まで変わるって本当? - NAVER まとめ
英語を話せる日本人って、日本語の時よりアクティブだったりオーバーリアクションなイメージありませんか?でも実はそれは、気のせいじゃないかも。話す言語により性格が変...

苫米地さんによれば、母国語と第二外国語では脳の活性化する場所が違うそうです。これを英語脳と表現しているわけです。英語を学習しているのに、日本語脳が活性化しては英語を習得することはできません。だから英語学習のときは日本語が書かれていない教材を使う必要があります。

読み書きが優先されている

英語学習では単語や文法など、文字を読むことが優先されます。リスニングなど聞くことはそれなりに行われますが、話すことは後回しになりがちです。日本ではメジャーな英語資格であるTOEICにリスニングとリーディングはあっても、スピーキングは最近までありませんでした。

これは自然に言語を学ぶのとは違います。赤ちゃんが母国語を覚える過程を考えてください。まずは親や周りの人が話すのを聴き、自分も見よう見まねで話して、ある程度話せるようになって初めて文字を学習します。つまり聞く→話す→読む→書くというのが自然な流れです。

また、世界には文字がない民族が存在します。例えばアイヌ民族のアイヌ語などです。日本も漢字伝来以前は文字が存在しなかったといわれてます。しかし言葉のない文化というのはまれです。

英語学習でも聞くことと話すことをまずは優先するべきであって、読む書くはそれからでいいというのです。

各書の違いと具体的なトレーニング法

各書の違い

『英語は逆から学べ』は単語編を除いて4冊出版されています。

最初に出版された『英語は逆から学べ!~最新の脳科学でわかった!世界一簡単な外国語勉強法~特殊音源CD付き(全外国語対応)』には既存の英語学習法の問題点、苫米地さんの英語学習の背景知識や理論などが書かれていて、残りの3冊が教材になります(3冊にも最初の本の要約が書かれています)

3冊の違いは英語のレベルです。『英語は逆から学べ!実践トレーニング編 ‾聴くだけで英語脳ができるバイノーラルCD付‾』と『英語は逆から学べ! ~英会話トレーニング編~最新の脳科学でわかった!短期集中英会話上達レッスン』が同じくらいのレベルで、『英語は逆から学べ!~上級トレーニング編~超バイノーラル&超デュアルインダクションCD付』はやや高レベルというのが私の印象です。

どれからやるべきかですが、『英語は逆から学べ! ~英会話トレーニング編~最新の脳科学でわかった!短期集中英会話上達レッスン』には”英語脳を作る2週間プログラム”というページがあり、より短期間で英語を習得するためのポイントがまとめられているので最初の1冊にオススメです。

ただし、2週間と期間は短いですが1日目、8日目、15日目は8時間英語のドラマを見る必要があります。平日に1~2時間やって、休日に8時間やるのが現実的でしょうか。

また本書ではドラマ視聴にDVDを奨励していますが、現在であれば動画配信サービスを利用できます。余談ですが字幕を消せないAmazonプライムビデオは向いていません。ネットフリックスやHulu等を利用しましょう。

具体的なトレーニング法

3冊のトレーニング法に違いはありません。やることは同じです。各書にCDが付属していて、バイノーラル録音がされているのが特徴です。

バイノーラルとは人の頭を模したダミーヘッドなどを使って、実際に人間が聞くのに近い音を録音できます。ヘッドフォンやイヤホンで聞くと、会話をしている人の声がそれぞれ左右から聞こえて、高い臨場感を感じることができます。

英語は逆から学べ実践トレーニング編 38ページ

まずは写真と説明を見ながら、音声を聞きます。意味がわからなくても大丈夫です。ある程度音が聞き取れるまで何度か聞きます。英語脳を作るうえで、ここが一番重要で根気のいるところだと思います。

英語は逆から学べ実践トレーニング編72ページ

ある程度聞き取れるようになったら、英文をチェックします。大意を把握したら、シャドーイングします。

シャドーイングとはCDの音声の後に自分も音読するトレーニングです。お手本の声に影のように付いていくことがポイント。もともとは同時通訳のためのトレーニングだったそうです。これは私自身もやってみて実感していますが、大変効果があります。

英語は逆から学べ実践トレーニング編138ページ

苫米地さんは奨励していないどころか禁じていますが、一応日本語訳ものっています。基本的には使わず、どうしても内容を正確に知りたい場合のみ参照にするべきです。

英語は逆から学べの元ネタ!?

元研究者で元衆議院議員、現在は英語の塾を経営している斉藤淳という人物がいます。斉藤氏の本『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』の中で出てくる英語学習法は、苫米地さんの『英語は逆から学べ』と大変似ています。まず音から入ること、意味は状況の中にしかないこと、海外ドラマを教材に使うことなどです。

この本は『英語は逆から学べ』のトレーニングの補足として有用だと思うので、一読することをオススメします。

『英語は逆から学べ』は2008年に出版されているので、『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』のほうが後発です。斉藤氏が苫米地さんの本を参考にした可能性は否定できませんが、私はそれだけでないと考えています。

斉藤氏の経歴を見ると上智大学からアメリカに留学し、イェール大学で研究者をしていたそうです。上智大学→イェール大学という流れは、苫米地さんと同じ。研究分野は違いますが斉藤氏は苫米地さんの後輩といえます。

1年学べば「映画の7割程度」が理解できるレベルに

MBA取得のためにイェールに留学したある日本人から聞いた話です。

彼はイェールで中国語の授業を1年間だけ履修していたのですが、帰国するときにびっくりしたそうです。というのも。機内チャンネルで中国語の映画を見たところ、内容に7割が理解できてしまったから。たった1年でそこまで上達しているとは、本人も気づいてなかったようです。

(中略)

こんな話をすると、「それは、イェールに来る学生たちが、もともと優秀だからでしょ?」と言う人がいます。たしかに選択する言語や個人の能力によっても差が出てくるとは思いますが、イェールで外国語を1年勉強すれば、それぐらいの語学力を習得することができます。
何が言いたいのかというと、「最も効率的な語学学習法」については、実のところ。もうすでに一定の「答え」が世界的に確率されているということです。

イェールはこの「世界標準の学習法」を実践している学校の1つであり、学生たちはそそれに沿って「語学習得の最短ルート」を走っているにすぎないのです。

(中略)

そこで本書では、イェール大学で学生として学び、教員として教えた経験をベースにしながら、私自身が実践してきた(そして英語塾で実践している)英語学習法をお伝えしていきたいと思います。

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法 位置№48

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』は斉藤氏のオリジナルではなくて、イェール大学の語学教育がベース。それはイェール大学独自のものというよりは『世界標準の学習法』で(イェール大学以外の)学校でも行われていると言っています。

苫米地さんと斉藤氏はイェール大学に在籍した時期が10年近く離れていますが、この『世界標準の学習法』は苫米地さんが在籍していた時期から存在し、それをベースに苫米地さんが開発したのが『英語は逆から学べ』ではないか?というのが私の仮説です。イェール大学以外のところで、例えばカーネギーメロン大学で知ったのかもしれません。

もう一つは苫米地さんが開発した方法論が『世界標準の学習法』になったという可能性。これは検証のしようがないですが、苫米地さんはさまざまな分野のパイオニアなので、充分ありえる話だと思います。


コメント