スポンサーリンク

苫米地英人の未来予想『2050年衝撃の未来予想』

スポンサーリンク

2050年 衝撃の未来予想

苫米地さんによる、2050年に世界がどうなっているのかという未来予想が本書の内容です。

2050年は、2017年現在から33年後。苫米地さんは現在58歳なので、存命であれば91歳。

ではなぜ33年後なのでしょうか?苫米地さんはすぐ先の未来を予想しても意味が無いと言います。1年後の未来を予想できれば、株で儲けることは可能ですが、それでは株式市場を支配している金融資本家に儲けさせてもらっただけ。

そうではなくて、今開発中の特許が切れるのはだいたい20年後、その技術が一般化して社会が本質的に変化するのが30~40年後なので、本書ではそこに焦点を当てているというわけです。

苫米地さんは、一般化する前から人工知能、P2P、洗脳などを研究していた先駆者でもあります。未来予想が正しいかは、2050年になってみないとわかりませんが、少なくとも説得力はあると思います。

60代で働き盛り!?

技術の一般化にかかる時間という理由以外にも、2050年を予想する理由があると言います。

冒頭で未来予想の意義について「5年後、10年後の予想は意味がない」といいました。

だからこそ本書は『2050年衝撃の未来予想』と題したわけですが、こうなると逆に、「そんな未来のことをいわれても実感が湧かないし、そもそも生きていないかもしれない。それではもっと意味がないのではないか?」と考える人もいるかもしれません。

(中略)

しかし、それでも私が2050年の未来予想に十分意味があると考えるのには、確固たる理由があります。それは、2050年には「60代、70代は働き盛り」「90代でも若造」の時代になっているからです。 

                                            16ページ

なぜならば、一世紀もかからずに日本人の平均寿命が約2倍になっているからです。これはペニシリンが普及したことが大きいと思われます。現在で言えば、日本人の死因で多いのは癌でしょう。しかし、ペニシリンが発見されたように、癌の画期的な治療法が発見される可能性があります。そうなると平均寿命が110~120歳になるというのです。

苫米地さんのいう『90歳で若造』というのは、日本のエスタブリッシュメント層の話で一般層のことではありません。しかし、60~70代でも現役だというのは、現在の高齢化社会から考えてありえる話だと思います。

今のうちからできることとして、高齢者とのコミュニケーション能力を磨くことを苫米地さんは提唱します。現在でも社会のエスタブリッシュメント層は高齢者が多いです。この先高齢者の人口が増えていくわけですから、エスタブリッシュメント層は今以上に高齢者が多くなっていることでしょう。その人たちのうまくコミュニケーションが取れるかどうかが、重要となってくるのです。

外資の支配が強まっていく

日本企業であっても、それを支配しているのは外資であることが多く、この先もその傾向が続くと苫米地さんは言います。

例えば銀行です。日本の銀行の20%以上は外資が株を持っているのです。

具体的には三菱UFJフィナンシャルグループの大株主は日本トラスティ・サービス信託銀行という三井信託系の信託銀行ですが、それに匹敵する株式を世界最大の資産運用会社であるブラックロックが株を保有しているが、関連会社に分散させているので、大株主リストにはあがっていないといいます。

三菱東京UFJフィナンシャルグループの大株主構成とブラックロック系株主構成

37ページより

ブラックロックはETF(上場投資信託)をメインに取り扱っています。これらの中には日経平均株価やTOPICなどと連動するものがありますが、その影響もあるでしょう。

また、三菱UFJフィナンシャルグループ自体が国内の銀行業務から海外へとシフトしていて、利益の半分を海外事業から得ていることも理由の一つです。

三菱UFJ、脱日本依存 海外利益5割到達へ - 日本経済新聞
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が国内事業を中心とした「日本の銀行」から事業モデルを脱却しようと動き始めた。日本のメガバンクで初めて利益の半分を海外事業が占めるのに備え、2018年度に組織再編に踏み切る。傘下銀行の国際部門を廃止し、国内外一体の営業体制を築く。国内への過度の依存から脱却し、海外の大手銀行と...

現在でも英語の重要性なスキルの一つですが、外資の支配がさらに強まっていると考えられる2050年になると重要性はさらに増すのです。これはビジネスマンに限らず、研究者なども予算が削られている国内から、海外にシフトしていく上で英語が今以上に必要になっているはずです。

もちろん自動翻訳の技術が発達する可能性もありますが、それでも英語の理解や英語文化圏への理解力がビジネスマン(研究者)として必須になっていくと言います。

国家の役割が低下する

2050年には国という制度は残っていても、国の重要性は下がってくというのが、苫米地さんの予想です。

IT化がすすみ、サイバー空間に移行するというのです。人工知能や仮想通貨など現在の技術がそれを可能にします。

サイバー空間では国家の影響力は限定的で、経済や犯罪などが物理空間からサイバー空間に移行すれば、相対的に国家の役割が低下するということ。2050年における国家の役割は物理空間の保全になると苫米地さんはいいます。

どうすればいいのか?

苫米地さんの予想が正しいと仮定して、私たちはどうすればいいのでしょうか?苫米地さんは本書の中で国家と個人にそれぞれ提言しています。

国家としては独自OSを開発することが必要だといいます。将来的には戦争やテロもサイバーが主流になっていて、これを防ぐにはシステムそのものを自前で用意して、内部をブラックボックス化する。そのための技術力を日本の技術者は持っているので、問題は予算と人材資源の集中だというのです。

現在の仕事のいくつかは人工知能に取って代わられます。だから個人としては人工知能ができない(もしくは弱い)分野の仕事をするべきだというのです。知識を活かすものやルーティーンの仕事は人工知能の得意分野。これが多くの仕事に当てはまります。

そうではなくて何かを表現したり、新しく創造する仕事が良い。そして本書に限らず、苫米地さんが繰り返し述べているのは『やりたいことをやるべき』だということ。ただし、それは個人によって違うからなのか、具体的には書かれていないので自分で探す必要があります。

コメント