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苫米地英人による学問のすゝめ『圧倒的な価値を創る技術[ゲシュタルトメーカー]』

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圧倒的な価値を創る技術[ゲシュタルトメーカー]

『30歳前後の読者向けのサバイバル本』として本書は企画されたそうです。

しかし、これさえあればサバイバルできるといった即物的な内容は抽象度が低いとも言えます。抽象度を上げろ!!と毎回言っている苫米地さんとしては承服できなかったのではないでしょうか。

また、そのような本は恐怖を煽ることで読者を洗脳することになると苫米地さんはいいます。なので実際の本書の内容はもっと抽象度の高いものになっています。

本書の内容を要約すると、30歳前後(それ以上の年齢でも)はゲシュタルトメーカーを目指せ!!そのためには大学院に行け!!となります。

つまり苫米地さんによる、21世紀の学問のすゝめといえるでしょう。

ゲシュタルトメーカーとは?

まずゲシュタルトメーカーの定義です。ゲシュタルトはドイツ語で形や状態を意味します。例えばゲシュタルト心理学という分野があります。

人の心を扱うのが心理学という学問ですが、その扱い方で細かく分かれています。情報処理の観点から心を扱う認知心理学、人間の行動に注目してそこから心を読み取る行動主義心理学、精神障害や心理的な問題を解決するための臨床心理学などです。ゲシュタルト心理学は人間の心を全体で一つの物としてとらえる心理学です。

苫米地さんは本書の中で、バラバラの要素を統合することをゲシュタルトと呼んでいます。そしてバラバラの要素を統合して新しい価値を生み出すことができる人間をゲシュタルトメーカーと呼びます。

ゲシュタルトメーカーの重要性

ビジネスで成功するにはゲシュタルトメーカーでないといけないというのが苫米地さんの主張です。本書に限りませんが、苫米地さんは他人の奴隷になって働くことを否定しています。奴隷というのは少し強すぎる言葉ですが、人に言われたことをやるだけの仕事というべきでしょうか。

言われたことをしかたなくやっている(have to)よりも自分のしたいことをする(want to)のほうがモチベーションが高く、生産性が上がるというのはさまざまな研究でいわれています。

また、本人以外でもできる仕事というのが必要であることは間違いないのですが、実際には金銭的にも精神的にも軽くみられることが多いと思います。

そこでビジネスでの成功を、苫米地さんは付加価値の創造と定義します。そして付加価値の創造をできるのがゲシュタルトメーカーだといいます。

付加価値創造とは具体的に製造業がわかりやすいでしょう。本書では例としてトヨタ自動車をあげています。トヨタは鉄やプラスチックなどの素材を組み合わせて自動車を作っているわけです。これは個々のモノを組み合わせて自動車という価値のあるものを作っているといえます。

他にも飲食店であれば食材を組み合わせて料理を作るし、プログラマーは個々のプログラムを組み合わせて最終的にはソフトウェアを作ります。

医師は医療の知識と経験を組み合わせて患者の問題を解決するという価値を生み出しているといえます。

大半のビジネスでは当たり前に行われていることで、これを苫米地さんはゲシュタルトメーカーと呼んでいるに過ぎません。

日本人はこの価値創造=ゲシュタルトを作ることを得意としていたのですが、近年ではこの能力が落ちていると苫米地さんはいいます。自動車以外の製造業やIT関係を考えると納得できます。

また、大学新卒者の就職人気ランキングを何10年単位で比較して、そのとき勢いがあって名声を得ている企業であっても10年後どうなるかわからないといいます。なので、将来有望な企業に入ることを考えるよりは、自分がゲシュタルトメーカーとなって稼ぐ方が現実的だと主張します。

ゲシュタルトメーカーになるための学問のすゝめ

ビジネスで成功するにはゲシュタルトメーカーになる必要があるとして、どのようになればいいでしょうか?

苫米地さんは自分の興味のある分野で学問をすること、具体的には大学や大学院に通うことを進めています。

大学での研究というのは、その分野における膨大な知識の中から自分の研究テーマを決め、研究を通じて論文にしていくことです。これはゲシュタルトを作る練習として大変効果的だと苫米地さんはいいます。

そして人生の前半は学問をして、40歳以降から稼ぎはじめるべきだというのです。

分野は自分に興味があればなんでもよく、まずは良い先生を探し、講義を聴講することからはじめる・・・という具体的な手順まで本書に書いています。

福沢諭吉の『学問のすゝめ』では6つの実学を奨励しています。具体的には手紙の書き方や帳簿の付け方から始まって、地理学や歴史、経済学など。現在の基準でいうと経済学や地理学を実学と呼ぶべきかは議論になりそうですが、役に立つ学問をするべきだと主張していることがわかります。

一方、苫米地さんは役に立つかどうかよりも、自分が興味があるかどうかを優先するべきだと主張します。

そうは言っても・・・

そうは言っても実際には簡単にはいかないと思います。問題となるのは、金銭と時間です。苫米地さんはこのあたりをサラッと書いています。アメリカのようにまず仕事をしてお金を貯めて大学に入るというのは日本ではハードルが高いと思います。

そこで、本書では大学中退のゲシュタルトメーカーの例も挙げられています。ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグたちはみんな大学中退です。いずれも、やりかたは違いますが、新しい価値を創造しビジネスをしています。必ずしも大学を卒業しなくてもゲシュタルトメーカーになれるわけです。

そのための訓練として、日本語の本→本→印刷物→メディアのように抽象度を上げていくトレーニングと、新たなフレームを作るためのイメージトレーニング(例えば自分が営業職だったら、経理や商品開発などの自分の知らない分野の知識を深め、仕事を想像してみる)などのが上げられています。

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