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感情をコントロールする方法!?『「感情」の解剖図鑑』

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「感情」の解剖図鑑: 仕事もプライベートも充実させる、心の操り方

本書の特徴

苫米地さんは『人間は「心が折れる」からこそ価値がある』の中で、人間とAIの違いは感情があるかないかで、心が折れることは感情がある証拠だと書いています。

本書ではその感情についての解説です。感情の一つ一つがどういった性質のものか理解することによって、その感情をうまくコントロールしていくのが目的になります。

怒り、悲しみ、不安などのネガティブな感情を何とかしようという本はありますし、苫米地さん自身も描いています。しかし、本書では感謝、安心、喜びなどのポジティブな感情についても同じように解説しています。

ネガティブな感情は脳に負荷をかけてしまうため、一時的にIQが下がったりして仕事の効率が下がったり、冷静な判断ができなくなってしまうなどの問題があります。

ポジティブな感情を持つのはいいことだとされていますが、例えば名誉心をうまく利用して他人を操ったり、幸せという感情を利用してカルト宗教に入信させたりマルチ商法に誘ったりとポジティブな感情も油断しているとネガティブな結果を引き起こすことになりかねません

苫米地さんは(ポジティブなものも含めて)感情に振り回されないことが重要だといいます。そのために感情をコントロールして、娯楽にしたり、人生のゴールを達成するためのツールとして活用するのです。

また、巻末に専門用語の解説一覧がのっているのも特徴といえます。苫米地さんの本には抽象度が高くて、理解しにくいものや、すぐに役に立てるのが難しいものがありますが、本書はとてもわかりやすく、読めばすぐに使うことができると思います。

さまざまな感情の解説

本書で私が気になった感情の解説をピックアップしていきます。

怒りの対処法

怒りというのはネガティブな感情の代表格です。本書でも悲しみのつぎにのっている感情です。

怒りによってノルアドレナリンが分泌され、交感神経が活性化、血圧の上昇、心拍数の増加などの変化が体に起きます。結果として気分が高揚するわけです。体が活発になる反面、前頭前野の働きが抑えられ、IQが下がって冷静でいられなくなるといいます。

原始時代であれば怒りを利用して戦ったり、逃げるなど怒りは生きていくうえで必要な感情だったのかもしれません。しかし現代の日本では怒りによってもたらされるメリットがほとんどありません。怒っている人には近づきたくないでしょうし、自身のIQも下がるので、怒れば怒るほど自分の立場が不利になっていきます。

基本的に怒りは抑える必要があります。そこで苫米地さんは怒り自体を怒りにくくすると同時に、自分を怒らせた相手への復讐を考えることをすすめています。

一見、復讐なんか考えたら余計に怒りが増すのでは・・・と思いますが、脳の機能的には理にかなっているといいます。自分にダメージが少なくて、怒らせた相手に対して一番効果的な方法を考えるのです。そのためには頭を使う必要があります。IQもあげなければなりません。そうすれば、前頭前野の働きが活性化され、怒りが治まっていくというわけ。

注意するべき点は、考えるだけで実行しないこと。自分の頭の中だけであればデメリットはなにもありませんが、実行するのはリスクがあるからです。

嫉妬の種類

苫米地さんは嫉妬には2種類あるといいます。動物的な嫉妬と社会的な嫉妬です。

動物的な嫉妬は自分の恋人がほかの人と仲良くしていたり、恋人を寝取られたときに怒る嫉妬です。これは種の保存という本能によって引き起こされています。

社会的な嫉妬は同僚が自分より出世したり、相手が自分より優れているときに起きます。社会的にどうかという、高度なものです。

動物的な嫉妬については、本能ですし必要な側面もあります。自分の配偶者が不倫をしていても嫉妬していなかったら、普通の家庭を維持するのは難しいでしょう。

しかし、社会的な嫉妬のほうは必要ないものだといいます。他人と自分を比較するのはきりがないからです。仕事でもスポーツでもそうですが、自分より上の人間というのは必ずいます。どれだけ頑張っても、他人と比較していると社会的な嫉妬からは逃れられません。

だから、自分で自分を評価することを苫米地さんはすすめています。自分の本当にやりたいことを自分のゴールにして、自分の尺度で自分を評価するのです。ゴールは人によって違うので、他人と競わず、社会的な嫉妬をいだくとこはなくなります。

名誉心は奴隷への道!?

名誉心は奴隷が持つ感情であると苫米地さんはいいます。

たしかに名誉心は自分だけでは抱けません。他人、特に自分より上の人から褒められたり称えられたりした場合に起きやすいと思います。

武士の名誉は殿様に尽くすことです。殿様からお褒めの言葉を頂戴すれば武士の譽れと言えるでしょう。何かしらの賞、例えばノーベル賞が名誉ならば、だったらノルウェー・ノーベル賞委員会から貰うものになります。

つまり何かしらの上下関係が生じるということ。これを奴隷化であると苫米地さんはいっているのです。

対処法としては嫉妬と同じになるのですが、自分の尺度を持つこと。賞を貰うにしても、商売に利用できるとか、予算を取れるなど何かしらの考えがあって貰うのはいいとしても、何の疑いもなく本気で「名誉」を抱くのは奴隷への道だというのです。

親近感の危険性

親近感は動物ももっていいて、他の群れの個体よりも自分の群れの仲間に親近感を持っています。これは人間でも同じで、他の会社の人よりは、同僚のほうが親近感を持つでしょう。

また実際に会ったことなくても親近感を抱く場合。メールやSNSでやり取りをしていて、自分と同じ考えや同じことをいっている人に対して持つこともありえます。

昔は地域社会そのものが親近感でつながっていました。お互い助け会って生活しており、例えば地域の子どもはその子の親でなくても、近所のおじさんおばさんが教育をしたりしたのです。

しかし、現在では地域社会の親近感が薄くなってきて、代わりに新興宗教やマルチ商法などがこの親近感を利用しています。親近感を利用すれば信者を増やしたり、金儲けをすることが簡単になるからです。

親近感そのものが悪いわけではありませんが、自分が誰に親近感を持っているのか?それは何故なのかということは自覚しておく必要があります。

セドナメソッド(リリーステクニック)への応用と違い

感情をコントロールする方法としてセドナメソッド(リリーステクニック)というものがあります。これはアメリカ人のレスター・レベンソン氏が自分の体験から編み出したテクニックです。

レスター氏の後継者であるヘイル・ドゥスキン氏の著作『The Sedona Method』はベストセラーになりました。アメリカのAmazonで現在246個レビューが書かれており、星も平均4.3とかなりの高評価になっています。

日本語訳もされていて、こちらもおおむね高評価のようです。

自分の感情を手放すため、自分と対話する方法です。具体的には以下通りです。

開放の基本手順

くつろいで、心の内面に焦点を当てます。目は閉じていても開けていてもかまいません。

①感じ方をよりよく変えたいと思っている事柄に焦点を当て、今この瞬間に感じている感情すべてを感じてみます。強い感情である必要はありません。

(中略)

②次の三つの質問のどれかを選んで自分に問いかけます。

「この感情を手放せますか?」「この感情をそのままにできますか?」「この感情を認めること(迎え入れること)はできますか?」

(中略)

③次の質問を自分の心に問いかけてみましょう。

「この感情を手放しますか?」

(中略)

④さらにシンプルなこの質問をします。

「いつ?」

(中略)

⑤これまでの四つのステップを、その感情から自由になったと感じるまで、必要な回数だけ繰り返します。 人生を変える一番シンプルな方法―世界のリーダーたちが実践するセドナメソッド 36~39ページ

私もこのセドナメソッドをたまに行うのですが、やると自分の感情から開放されたような感じになり、冷静にものごとを判断できるようになります。

セドナメソッドでは最初の段階で自分の今感じている感情を特定します。セドナメソッドの本にも感情の解説は書かれているのですが、アメリカと日本の感情のとらえ方の違いなのか翻訳の問題なのかわかりにくいです

そこで本書『「感情」の解剖図鑑: 仕事もプライベートも充実させる、心の操り方』が大変役に立ちます。感情の性質を正しく理解していれば、開放するのも簡単になります。

しかし、最大の違いはセドナメソッドが感情を開放するのに対して、苫米地さんは感情を娯楽として楽しめといっていること。苫米地さんのほうが抽象度が高く、一歩先をいっていると思います。

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