苫米地さんの本には、悩みを何とかしようというものがいくつかあります。例えば以下の本は女性の悩みに答えた本です。

人間関係の悩みに特化した本になります。
人の悩み大半はお金、健康、人間関係のどれかだと言うことはよく言われますが、体が健康でお金に困っていなくても、人間関係の悩みは多くの人が持っていると思います。
会社員なら、上司や部下、同僚に対するもの。家庭でも配偶者や親、子どもに対するもの。友人に対するものなど。ちょっとしたことであれば、他の人に愚痴を聞いて貰えばそれで済みますが、パワハラやDVなど深刻なものもあると思います。
やはり人間が一人で生きていけない以上、人間関係の悩みは尽きないのではないでしょうか。本書はそのような需要に応えるものです。コーチングの要素も入っていますが、コーチングについて知りたければ他の本を読むことをオススメします。
縁起とは?
人間関係の悩みに対処する手段として、苫米地さんは縁起を理解し、縁起人として生きることを提唱しています。
縁起とは仏教用語で『すべての存在は関係で成り立っている』ということ。縁起=悟りと考えてもいいと思います。
例えば自己紹介をするときに、自分の名前を言うと思います。名前というのは通常は親が付けたもので、他人からそう呼ばれます。親、他者と自分の関係と言うわけです。つぎに神奈川県の横須賀市出身で、今は港区に住んでいるとします。これは地域と自分の関係を結びつけています。そして趣味や好きな食べ物を・・・もう大丈夫だと思いますが、趣味、食べ物と自分の関係を言っているわけです。
このように、他者や地域、物との関係を使わなければ自己紹介すらできません。そして人間関係の悩みもこの”縁起”によって発生しているというわけです。
縁起人とは?
苫米地さんは縁起を知ることができれば、誰でも縁起人になれると言います。
では縁起人とはどういう人でしょうか。本書の中では言葉が統一されていなく、苫米地さんは様々な角度から縁起人とは何かを説明します。
「縁起を理解して。実生活に役立ててサバイブしている人」「悟りを目指す人」「偏見がない人」「自分の頭で考え、行動できる人」「煩悩と自分を正しく理解している」
こうして並べてみるとある程度の傾向が読み取れます。
以下は私の解釈ですが、抽象度の高いをすることができて、他人のために行動できる人ではないでしょうか。
心を強くするのとは違う
苫米地さんは縁起人になることによって、人間関係の悩みを解消するべきと言います。これは”心を強くする”ことではありません。
例えば、あなたが上司に怒られたとします。自分の責任ではないことで怒られたあなたは、大変へこんでしまったあなたですが、隣の同僚Aは今まで10回以上怒られているのに、何ともなさそうです。Aはあなたよりも心が強いのでしょうか?もちろん、怒られることに耐性があるとも考えられますが、Aが縁起人であればそうではありません。
”怒られたこと”に対する自分の解釈を変えるのです。怒られた原因が自分の落ち度であれば反省するし、そうでないのなら「バカなことをいう可哀想な人」という解釈をすれば、上司に対する印象も変わってきます。
しかし、これだけではダメだというのが苫米地さんの主張です。上司の叱責がパワーハラスメントだった場合や、配偶者によるDVの場合は粛々と対応しろと言います。具体的にはパワハラであれば、まず証拠を集めて、会社の相談窓口へ。窓口がない会社や、それでもだめなときは労働基準監督署や弁護士に相談するなどです。
縁起人は不当なことをされても泣き寝入りするのではなく、よくない関係をかえるべく、冷静で前向きに行動できることも含みます。
コミュニケーションの方法
縁起、つまり他者との関係性を重視すると、コミュニケーションの問題になります。縁起人としては、他者とどのようにコミュニケーションをとればいいのでしょうか。
本書の中で苫米地さんは自分のためではなく、相手のためにコミュニケーションを取るべきと繰り返し言っています。
例えば、釈迦の説法は『対機説法』だったといいます。対機説法とは相手によって話の方法を変えること。相手の経歴や精神状態によって、効果的な話しかたや話の内容は変わってきます。
このように自分ではなく、相手を中心に捕らえて、どのように言えば相手に伝わるかを自問自答する。これがコミュニケーション力を上げる方法だと言います。
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