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苫米地英人による日本論『「日本」を捨てよ』

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「日本」を捨てよ

日本国、もしくは日本人とは・・・いわゆる日本論はいくつか出版されています。古くは新渡戸稲造の『現代語訳 武士道 (ちくま新書)』やルース・ベネディクトの『菊と刀 (講談社学術文庫)』などが有名です。

本書は苫米地さんによる日本論になります。日本の歴史についての本はいくつか書いていますが、本書は現代の日本国、日本人が対象です。

海外でも活躍している苫米地さんから見た日本の閉塞感の原因や、日本の特徴、政策提言などが書かれています。

日本人が幸せを感じられていない?

日本人がここのところ閉塞感を持っているというのはよく言われます。実際に2017年に国連が発表した幸福度ランキングで日本は51位です。

世界幸福度ランキング2017発表、日本の順位は?
報告書では「上位4カ国は、国民の自由度、政治など幸福に関係する主要なファクターの全てで高評価を獲得した」と指摘されている。

経済面、とくにバブル以降の失われた20年が原因であると言われます。

たしかに少子高齢化で、巨額の財政赤字を抱えているなど、問題はたくさんあるでしょう。しかしGDPは中国に抜かされたとはいえ世界3位で、日経平均株価も2万円台に回復してきています。

何をもって幸福かというのは、人によって違うと思いますが、少なくとも経済面においては、相対的に日本は恵まれているといえます。幸福度ランキングとのギャップは何でしょうか。

その理由を本書で苫米地さんはいくつか上げています。

例えばGDPの規模が国の経済力とは限らない点です。電化製品などで日本がシェアを奪われている韓国は日本の3分の1、アジアの金融センターとして成長しているシンガポールは日本の16分の1です。GDPだけで見れば小国でも、実体は経済大国という場合があることです。

もう一つは日本にフェアネスが無く、既得権益者が優位に立ちつづけること。

フェアネスはキリスト教の文化であり、儒教の影響が強い日本には馴染まないと苫米地さんは言います。えげつないけれどもフェアであるアメリカと比較すると、日本にフェアネスが欠けている結果として既得権益を持っている人間に有利になります。既得権益を持っていない人間にとっては可能性が限定されてしまって閉塞感につながっているというのです。

日本の政治家が不倫スキャンダルで失脚する理由

日本では政治家が不倫等で失脚することは珍しくありません。与党野党問わず、定期的に報道されています。マスコミが頻繁に報道するということは、それだけ国民に関心が高いということです。

これは欧米では一般的ではないと苫米地さんはいいます。欧米でも収賄などの犯罪であれば失脚するのは当たり前ですが、不倫については不法行為ではあるものの、刑事事件ではなく民事の問題です。つまり仕事とは関係ない私的な問題として認識されるというのです。具体例として元イタリア首相のベルルスコーニ氏を上げています。

日本ではそうはいかず、離党したり場合によっては政治生命を絶たれることもあります。

この違いは日本の儒教思想が理由だと言います。儒教では徳によって国を治めるという思想です。国の権力者は清廉潔白でなくてはならない=不倫なんてとんでもないというのです。政治家であれば政策遂行能力が一番重要であるところを、儒教思想では清廉潔白であることが一番重要で、日本の政治家にも求められるということです。

「日本」を捨てよとは?

本書でインパクトが強いのは、タイトルの『「日本」を捨てよ』です。日本論の本の結論が国を捨てよというのはどういうことでしょうか。

苫米地さん自身は、海外でも暮らそうと思えば暮らせるけれどあえて日本で生活しているとおいいます。(余談ですが、震災復興を支援するため、仙台市に住民票を移しているそうです)日本が好きで日本を愛しているということは本書にさんざん書いてあります。

それでも日本を捨てろというのは、抽象度を上げるためだといいます。抽象度を上げるためには、日本にこだわるのではなく、他国や世界のことに目を向けなければならない。

他国や世界を知ることによってスコトーマがはずれ、日本の長所や欠点がより理解できるようになるといいます。

つまり、抽象度を上げた状態で日本の問題を考えたほうが、日本にとってもより良い考えが浮かんでくるし、結果的に日本の問題の解決に役立つというのです。

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