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まるで映画のようなCIAの陰謀『CIA洗脳実験室』

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CIA洗脳実験室~父は人体実験の犠牲になった~

この本は苫米地さん関連の本の中では2冊目に出版されています。それから10年ほど絶版になっていましたが、2010年に警視庁公安部の「オウム真理教のほかに犯人はいない」という発表を受けて再版をしたそうです。

正確には苫米地さんは翻訳者で、著者はカナダ人の精神科医です。巻末には評論家の宮崎哲弥氏と苫米地さんの対談が載っています。
オウムが信者を洗脳していた手法とCIAの行っていた洗脳の手法が酷似していて、本書の中でも洗脳の具体的な手法が書かれています。

それを一般公開することに社会的意義を感じて出版に踏み切ったのでしょうか。

本書の内容

CIAに資金援助を受けた精神科医が、自分の患者に対して非人道的な実験を行っていた。これを告発するのが本書の内容です。

著者は自分が幼いころ、父親が治療と称して非人道的な実験に参加させられ、そのことがきっかけで精神科医になった人物です。

立派で自信にみちあふれていた父親が、実験のせいで日常生活に支障が出るようになってしまい、著者を含む家族が苦しむ様子が書かれています。
苦悩した著者は精神科医になり、そこから父の参加させられた実験について調べ、他の被害者と共に裁判で戦うところまで行きます。

まるで映画のシナリオのような話ですが実話です。むしろこの事件を元ネタに、多くのフィクション作品が産まれました。
私がすぐに思いつくのは、ブールスウィルス主演の映画『RED/レッド』です。政府の極秘実験に耐え抜いた登場人物がいました。

問題を複雑にしている理由

この問題をややこしくしているのは、CIAが絡んでいることや精神医学界の問題がありますが、それ以上に国家間の利害が絡んでくることです。

非人道的な実験「MKウルトラ計画」はCIA(つまりアメリカ政府)が行ったことですが、CIAはアメリカ国内だけでなく、隣国のカナダでもこれを行ったのです。著者の父親もカナダ人で、カナダの公立大学であるマギル大学付属のアラン研究所で実験は行われました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/MK%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E8%A8%88%E7%94%BB
CIAに資金援助を受けたのはドナルド・キャメロンという精神科医で、当時の精神医学界の重鎮でした。キャメロンは裁判の時点ですでに他界しているので、本書では過去形の形でしか出てきません。

つまり、アメリカとカナダの国家間の問題だということ。

カナダ政府からすれば、自国で自国民に対して人体実験をされたという立場にあるのですが、アメリカ政府相手に弱腰の姿勢を見せます。このあたりは日本政府とアメリカ政府の関係と似た感じでしょうか。

対してアメリカ政府は、CIAが資金援助しただけだとか当時の医療倫理としては間違っていなかったと主張します。本書ではカナダやアメリカ政府の言い分に対して、著者が一つ一つ反論を書いていきます。

地獄への道は善意で舗装されている

事件の経緯と結末は本書を読んでもらうとして、素朴な疑問としてなぜこのような非人道的な実験が行われたのでしょうか。
「MKウルトラ計画」については米ソ冷戦の影響だったのは間違いないと思います。
ソ連に対する恐怖からこのような計画が発案されました。アメリカをソ連から守るためという名目で行われたわけです。

では、実験を行ったキャメロンについてはどうでしょうか。
ナチスの戦争犯罪を裁く国際軍事裁判である「ニュルンベルク裁判」にキャメロンは参加していました。
ナチスの副総裁であるルドルフ・ヘスの精神鑑定を行う精神科医として。

ニュルンベルク裁判 - Wikipedia

ニュルンベルク裁判に関わることによって、キャメロンはナチスの恐ろしさを目の当たりにしたのです。
その後キャメロンは二度とナチスのような組織が出現しないような世の中を作る必要があると論文に書いています。

当時は精神医学の研究の倫理規程がまだ甘かったということもありますし、著者が書いているように、キャメロンは精神医学界の重鎮ではあっても、科学者としては未熟だったのかもしれません。
しかし、二度とナチスのような組織が産まれないために、精神科医としてなにができるか?という使命感や正義感からくる善意の問いかけだったはずです。

その結果として、自身がナチスのように非人道的な実験に手を染めてしまう・・・皮肉であるといえばそれまでなのですが、同時に非常に恐ろしいと感じました。

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