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鉄壁のメンタルを作る!?『どんなことがあっても自分をみじめにしないためには―論理療法のすすめ』

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どんなことがあっても自分をみじめにしないためには―論理療法のすすめ

~しなければならない(have to)を~したい(want to)に変えるのがコーチングにおいて重要であることは、苫米地さんの本には繰り返し出てきますし、ルー・タイスの本にも記載があります。

何か目標があって、その目標=ゴールに近づくためには、モチベーションが必要です。

簡単に達成できるゴールであれば必要ないと思います。しかしゴールの達成が困難であればあるほど強いモチベーションが必要でしょう。難しいゴールであれば、障害があるのが普通です。その障害に当たったときに、モチベーションを保てるかどうかはwant toへの強さが鍵です。

ではなぜhave toでは駄目なのでしょうか?

~ねばならない(must)と徹底的に戦う

認知行動療法というものがあります。簡単に言うと、自分の思考と議論し、良い方向に導くための技術です。ルー・タイスのコーチングに影響を与えた心理学者の一人でポジティブ心理学の祖マーティン・セリグマンの本は以前にレビューしました。

楽観主義者VS悲観主義者!?『オプティミストはなぜ成功するのか』
『オプティミストはなぜ成功するのか』のレビューです。主に楽観主義者のメリットが書かれています。また悲観主義者が楽観主義者になるにはどうすればよいかですが、 出来事に対して自分がどう解釈するが重要になってきます。コーチングへの活用も。

セリグマンのポジティブ心理学にも認知行動療法が使われています。

この認知行動療法の元となった論理療法を開発したのが本書の作者アルバート・エリスです。アメリカの臨床心理学者で、2007年に93歳でなくなっています。

論理療法も認知行動療法も自分が物事をどう解釈するかに焦点を当てます。

例えば、コップに水が半分入っているとしたら、半分も残っていると解釈するか、半分しか残っていないと解釈するかです。

本書『どんなことがあっても自分をみじめにしないためには―論理療法のすすめ』は自分の中の~ねばならない(must)と徹底的に戦うための本です。

苫米地さんやルー・タイスのコーチングではhave toですが、本書でアルバート・エリスはmustを使っています。

have to とmustは「~しなければならない」と訳され、同じ意味だと教えられることが多いですが、厳密なニュアンスは違います。mustのほうが強力な圧力をかけるイメージです。

not have to(しなくても良い)に対して、must not(してはいけない)という、否定形にすると違いがわかりやすくなるでしょう。

この~ねばならない(must)が抑うつやパニックにつながっているとアルバート・エリスは言います。

多少の不安や心配事は生きていく上で必要

 あなたがあなたにとって大切な何かを失うという経験をしたとき、あなたのパニックや抑うつや立腹の感情は不自然だろうか。いや、ちがう。これらの感情は大変自然で正常であり、人間の状態の基本的な一部分と言える。これらは非常にありふれた、世界共通の感情である。ほとんどすべての人間は、これらの感情をもつ。しかもしょっちゅうだ。もし、あなたがそれらの感情をかなり頻繁に経験していないとすれば、そのほうが不自然である。

しかし、正常でありふれていることは健康的であることを意味しない。風邪はありふれている。打撲だって、骨折だって、感染だってそうだ。しかし、それらは決してよりことではないし幸福を生むわけではない。

だから不安という感情が伴う。心配、要人、警戒、そして私たちが軽い不安と呼んでいるものは正常で健康そのものだ。もしあなたの不安が完全にゼロであるならば、あなたは自分がどこに行こうとしてるのか、そしてどういうふうに行動しているのかについて注意することを怠るだろう。そして、あなたはすぐに問題に巻き込まれたり、たぶん自分自身を殺してしまうことすらありうるだろう。

しかし、激しい不安、神経症、恐怖、そしてパニックは正常(またはしばし起こること)だが、非健康的なことである。激しい不安はあなたを何かを過剰に気にしてくらい気分にさせたり、恐怖に導いたりする。しかもあなたを縮みあがらせ、そして無能にそして非社会的に振る舞うようにしてしまう。だからある程度の心配や用心の気持ちは維持し、過剰な心配や臆病やパニックや恐怖におののくという感情はくずかごに捨ててしまうことである。

(中略)

では、心配とパニックのちがいは何だろうか。このちがいは、あなたが望むことを絶対的に必要であることと見るかどうかからくる。私が『論理療法』(邦訳、川島書店)のなかで指摘したように、あなたがそうしたいというあなたの願望を、「ねばならない」に変えるとき、すなわち「マスト化 must-urbtion」するとき。あなたは激しい不安を想像するのである。13~15

人間生きれば不安や心配事はあるほうが普通ですし、ある意味生きていく上で必要なものといえます。

例えば将来への不安があるからこそ、眼の前の仕事や勉強を頑張るという側面はあるでしょう。現状に満足していて、将来への不安がまったくなければ、何か努力したり工夫をしようと思いますか?

また、病気への心配があるからこそ、健康的な生活を心がけることもあります。これは結果的に病気になるリスクを減らすことにつながります。

必要だからこそ、私やあなたには不安や心配事があるのです。これらを無くすことはできないですし、その必要はありません。

アルバート・エリスが問題としているのは、強い不安やパニック、恐怖などです。これらの強い負の感情を持ったとき、多くの人は思考停止に陥るからです。

例えば将来への不安が強すぎて、目の前の仕事や勉強が手に付かないのであれば、強い不安はマイナスにしかなりません。

ねばならない(must)が強いネガティブの感情の根源

ねばならない(must)と強い不安やパニック、恐怖との関係はどうでしょうか。

例えば、東大を目指している受験生がいるとします。彼or彼女が必死で勉強して、東大に合格したらどう感じるでしょうか。自分はよくやったとか、達成感を感じる…などポジティブな感情を持つと思います。

問題は不合格だったときです。

今までの努力が否定された感じがして無気力になる、自分に怒りを覚えるなどネガティブな感情を持つでしょう。

とはいえ来年頑張ろうとか、別の大学を目指そうとか、時間はかかったとしても、いずれ立ち直ることができます。

しかし、彼or彼女が東大に合格しなければならないと考えていたらどうでしょうか?合格しなければならないということは、合格しなかったことに強いストレスを感じるでしょう。それが強いネガティブな感情…強い不安やパニック、恐怖などにつながるのです。

いい大学に行きたい、自分の望む会社に入りたい、恋人が欲しいなど人は何かしらの願望を持ちます。

これらの願望が叶わなかった場合どう考えるかが問題です。

多少のネガティブな感情を持つのは当然ですが、いい大学に入らなければならない、あの会社に入らなければならない、自分には恋人がいなければならない…と考えることが強いネガティブな感情を持つことに繋がります。

論理療法のエクササイズ

論理療法エクササイズ・№1

まず、次のエクササイズは非常に簡単に見えるが、それは見かけほどやさしくはない。この実習のねらいは、否定的な感情において適切な感情と不適切な感情とを識別できるようになることにある。この識別は、人生の不運に遭遇したり、取り越し苦労をしているときに必要なものである。

適切な心配、用心、警戒と不適切な不安、神経質、パニックとを識別すること。

あなたにすぐ起こるかもしれない非常に悪い、あるいは不幸な出来事、たとえば失業、交通事故での負傷、あるいは愛する人を失うことを想像してみよう。この出来事が簡単に起こるかもしれないとありありと想像してみよう。どんな気持ちだろうか。あなたはこの気持をつくりだすために、あなた自身に何と言っているだろうか。

もし、あなたの心配や用心が適切なものであるならば、あなたは自分自身に、たとえば次のように語りかけているはずである。「不幸は出来事はおこってほしくない。しかし、もしそれが起こるとしてても私はそれを処理することができる」、「もし私のパートナーが重い病気になってり、死んだりしたらそれはとても悲しいことだ。しかし私はそれでも生きていくころができるし、それなりに幸せになることができる」、「もし私が視力を失ったらそれはとんでもないハンデキャップだ。しかし、それでも私はたくさんの楽しみをもつことができる」。

さて、ここで大事なことは、これらの考え方は、もし何かが起こったならば、自分はいかに多くのものが奪われ、残念に思うかを表明しつつも、同時にそれらすべてに、「しかし」を付け加えているのである。この「しかし」こそ、あなたが人生を楽しんで生きるという選択をあなたに残すものなのである。

もし、不適切な不安、神経質、あるいはパニックを感じているならば、「ねばならない」、「必要である」、「お手上げ」、「私には耐えられない」、「自己卑下」あるいは「一般化のしすぎ」、といった思考法をしていないか点検することである。すなわち「私は失業するべきではないのに、もし私が仕事を失ったら、よい仕事を手に入れることは決して二度とこない。そしてそれは私が完全に無能な人間であることをさらけ出すことになる」、「私のパートナーは決して死ぬべきではない」、という保証を私は得なければならない。というのはもし彼(彼女)が死んだならば、私は一人ぼっちには耐えれないし、みじめな人生を送ることになるからである」、「私が視力を失わないということは絶対に必要なことである。というのはもし私が視力を失ったら、私の人生はぞっとするほど恐ろしいものになり、そして私はそれ以後人生のどんなことも決して楽しめなくなってしまうからである」。17~19

本書には全部で18個のエクササイズが記載されています。

エクササイズすべてに共通するのは、自分自身の思考と向き合うことです。そしてmustを見つけ出し、それを論破するのが目的になります。

引用した部分を読めばわかりますが、かなり回りくどい言い方をしているので、人を選ぶかもしれません。

翻訳の問題でしょうか。また自分の思考と向き合いやすくするように同じことを語りかけているのだと思います。

しかし、苫米地さんやルー・タイスのコーチングやセリグマンの『オプティミストはなぜ成功するか [新装版] (フェニックスシリーズ)』に出てくる認知行動療法と比べると、本書のエクササイズはmustに焦点を当てているため、シンプルで強力です。あなたもすぐに使いこなせると思います。

攻めのコーチング、守りの論理療法

本書のタイトルには『どんなことがあっても自分をみじめにしないためには』とあります。論理療法を使えばめったなことではみじめにならない鉄壁のメンタルを手に入れることができます。守りを極める感じです。

この点、同じ技術をベースにしているコーチングやポジティブ心理学は自分の目標(ゴール)を達成するために使われます。いわば攻めの技術です。

攻めと守り…どちらも必要ですが、個人的には守りのほうが重要だと思います。

目標(ゴール)を達成する前に、心が折れてしまっては元も子もありません。自分が負けない状況を作ってから、攻めに転じるというのは古代中国の兵法書『孫子』にも出てきます。

本書『どんなことがあっても自分をみじめにしないためには』は、20年以上前に出版されている古い本で、苫米地さんと直接関係がある本ではありませんが、どうしてもと思い今回レビューしました。強くオススメします。

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