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苫米地英人に抵抗がある人にこそオススメなコーチング本『望めば、叶う 』

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望めば、叶う

コーチングの元祖で、苫米地さんの師であるルー・タイス氏のコーチング本です。

以前にレビューした『アファメーション』比べると2001年の出版なので、古い本だと思うかもしれません。

しかしアファメーションの原書『Smart Talk for Achieving Your Potential: 5 Steps to Get You from Here to There』と、本書望めば、叶うの原書『Personal Coaching For Results』は同じ1997年の1月に出版されています。

またアファメーションはタイトルの通りコーチングの技術であるアファメーションに特化した内容だったのに対して、本書はセルフコーチング、人に対するコーチング、子どもに対するコーチングなどコーチング全般を扱っているのが特徴です。

ルー・タイス氏の本では同じコーチング理論でも、苫米地さんとは違った表現の仕方をしています。また、コーチングの学術的裏付け、心理学との関係などについても言及しています。

これらの理由から、コーチングを知りたい人はもちろん、アンチ苫米地の人や苫米地さんの本が合わない人にこそオススメの本です。

ルー・タイスの過去

本書の冒頭で書かれているのは、ルー・タイス自身の現在と過去の生活です。2012年になくなるまで、ルー・タイス氏はコーチングの元祖、世界的な指導者として尊敬されていました。

あなたは配偶者と、邸宅と言われるような美しくて温かで快適な家に住んでいる。場所は大きな明るい湖のほとりで、世界で最も美しい都市のひとつに数えられる街だ。

(中略)

夫婦中はむつまじく、安定している。あらゆる意味で、ほんとうのパートナーだ。夫婦がチームを組んで、国際的に名声の高い会社を設立した。事業は大成功で、文字どおり何百万ものひとが成功するのを助けているという満足感がある。孫にも恵まれている。この世を去るとき、かなりの財産と有意義な事業体だとでなく、生きたすばらしい遺産を残せると思うと幸せだ。

(中略)

さっきの情景はわたしの暮らしなのだ。だが、二十五年前、私は高校のフットボール・コーチで、一〇〇〇ドルの月給で増えていく家族を養うのに及々としていた。どうしたって赤字だと思う日々もあれば、子どものころの暮らしに比べればましなほうだと思うこともあった。

私は街でも最悪の地区にある粗末な家で(小屋と言ったほうがいいかもしれない)、三人の弟妹とともに育った。両親がアル中だったかどうかはともかく、お酒をたしなむなどというものではない飲み方をしていた、そのせいで非常に貧しかったばかりでなく、年中、喧嘩や騒ぎが絶えないむちゃくちゃな暮らしだった。肉体的、感情的暴力やヒステリーは日常茶飯事だった。わたしが十三歳のとき父が死に、そのあとは福祉に頼る生活だった。母はなんとか家族の世話をしようと努力してはいたが、調子のいいときでさえ、感情的にとても不安定だった。わたしは放課後と夏休みにアルバイトをして家計を助けたが、それでも食べていくのがやっとだった。 22

コーチングを始める前のルー・タイス氏がフットボールのコーチをやっていたのはアファメーションに出てきましたが、本書ではそれ以前の子ども時代の話が出てきます。かなりの苦労をしている様子です。

アファメーションのレビューでも書きましたが、苫米地さんとの大きな違いはこの点だと私は思います。苫米地さんも苦労しているとは思いますが、『自伝ドクター苫米地 脳の履歴書』に書かれているようにもともとお金持ちで、父上のコネで三菱地所入社するなど、客観的にみて大変恵まれています。

またルー・タイス氏は自身の経験談も交えながら話をすすめて行きますが、これには失敗も含まれます。自身がフットボールコーチだったときに、選手に対して誤った指導をしてうまくいかなかった事例等です。

苫米地さんの場合は自身のすごさを前面に語ることが多いです。苫米地さんの持ち味とも言えますが、これに反感を持つ人がいることは否定できません。ルー・タイス氏の物語には多くの人が共感を持つでしょうし、自身がどん底からの成功という経験を持っていることで話に説得力があります。

コーチングの学術的裏付け

大きな大学の心理学部や精神医学部へ行ってみると、ひとの心の動きに関する膨大な参考文献や研究資料がある。したがって、わたしがこれからお話するのはまちがってはいないが、そうした研究成果のほんの上澄みでしかない。だが、それでいいのだ。これは心理学の専門家になるための本ではない。それに、ご紹介する上澄みは、わたしに言わせれば濃厚なクリームのような部分、あなたがこれまでよりももっと豊かに、もっと活動的に生きるため、そして誰よりもすぐれたコーチ、指導者になるために必要はエッセンスだからだ。 35

ルー・タイス氏のコーチングは学術的なベースを元に作られているのが特徴です。コーチングの開発に関わっているのは、自己効力感(セルフエフィカシー)の提唱者で心理学の権威であるアルバート・バンデューラ氏と、学習的無力感で有名でポジティブ心理学のマーティン・セリグマン氏が開発に関わっています。

本書の中では両名の研究などを引用しながら、コーチングとどのように関わってくるのかを説明しています。これがルー・タイスのコーチングが他の自己啓発理論と違う点です。心理学の理論を実践で使っているわけです。

もちろん心理学の裏付けがあっても正しいとは限りません。検証は必要です。しかし、それすらもない自己啓発は検証のしようがないでしょう。

また苫米地さんは怪しかったり胡散臭いイメージをもたれがちですが、コーチングに関して本書を読めばそのようなイメージは払拭できると思います。

コーチングは精神論でもギャンブルでもない

自己啓発本の中にはただの精神論を語っているものが多いでしょう。とにかく頑張って努力するというのも一つの方法だと思います。ルー・タイス自身もフットボールのコーチをしていた時代はそのような考えだったといいます。

変化するには、「がんばってやり通す」という方法しかないとおなたが考えているとしたら、できるだけ変化を避けようとしても不思議ではない。だが、溺れるか泳げるか、水に放り込んでみるという方法以外にも、やり方はあるし、ほんとうは一が八かのやり方を取るべきではないのだ。いまでは、変化のプロセスについても、心の働きについてもよくわかってきたので、新しい状況に自分を放り込んで適応するまで(適応できるとして)歯を食いしばって耐える必要はない。もっと安全でやさしいリラックスしたやり方で、変化のプロセスを楽しみながら成長することができる。 115

ゴールを達成するには、現状のままでは難しいでしょう。快適ゾーン(苫米地さんの本でいうコンフォートゾーン)を出る必要があります。

もちろんがむしゃらに努力をすれば運良く快適ゾーンの外にられるかもしれません。しかし、学問的裏付けがあって楽しいやり方で変化に適応する方法がコーチングなのです。

目標設定の重要性とその方法論

目標(ゴール)の設定はコーチングにおいて重要な要素です。ルー・タイス氏は方法よりも目標が先だといいます。目標さえ定まれば、方法はあとから見つかるというのです。

全社の教育カリキュラムをビデオ化し、独自の配信システムをつくろうと決めたとき、わたしもビデオを制作について知らなかった。話をした相手はほとんど、現実的になれ、分別をもてと言った。「せっかく、いまの事業がうまく行っているのだから、それでいいじゃありませんか。ライブのセミナーで教え続けたほうがいいですよ」

(中略)

わたしは反対意見に耳を傾けなかった。それで、どうなったか。ビデオ化という目標に向かって意欲を燃やし始めたとたん、カリフォルニアでもカナダでも、力を貸してくれる人たちが現れたのだ。わたしがビデオ教育について何も知らないことは全然障害にならなかった。ある程度は勉強できたし、残りは知識のあるひとを見つけられた。必要な人材も資源もすべて発見できたし、「方法」はやっていくうちに考え出すことができた。 129

RAS(脳の活性化ネットワーク)の話など、この原理は苫米地さんと共通のことを言っています。また抽象的で大きな目標でなくても、教材のビデオ化という具体的な目標に対してもこの方法は有効だというのがわかります。

目標の設定はコーチングのコアの部分です。苫米地さんは『現状の外のゴール』を設定する必要があると繰り返し言っていますが、なかなか難しいと思います。なんせ現状の『外』ですから。

ルー・タイス氏は目標を1度に設定するのではなく、いくつかのステップに分けることをすすめています。

 

  1. 目標を書きとめること。
  2. はっきりした具体的な目標をたてること。
  3. 最終目標をいくつかの短期的目標に分解すること。
  4. 最終的な目標は挑戦しがいのある、魅力的なものにすること。
  5. 障害や後退を織り込んでおくこと。
  6. 進歩を記録し、自分を褒めてやること。
  7. 肯定とビジュアル化で目標を支えること。 144

最終的には挑戦しがいのある目標を設定するわけですが、最初のほうでは具体的であったり、短期的な目標を入れるべきだといいます。また肯定や自分を褒めつつも障害や後退を織り込んでおくというのも大変現実的だと思います。

ビジュアル化、つまりイメージトレーニングを重要視しているのも特徴です。具体的なやり方は本書を参考にしてもらうとして、目標を自分視点の映像化するのは効果が高いと思います。

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