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洗脳から身を守る方法!?『洗脳護身術』

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洗脳護身術―日常からの覚醒、二十一世紀のサトリ修行と自己解放

洗脳護身術とは

苫米地さんが2000年に最初に出したのが『洗脳原論』ですが、前にレビューを書きました。仕組みから理論、オウム信者をどのように脱洗脳したかの描写など盛りだくさんの内容でした。

洗脳護身術は、苫米地さんが2番目に書いた本です。基本的には洗脳原論の続編に当たります。洗脳原論が洗脳の教科書だとすると、洗脳護身術は実践本と言えるでしょう。

ちなみに初版は絶版になっていて、現在販売されているのは、電子書籍版と新装版の2種類になります。

本書で苫米地さんは洗脳を物理的な暴力に例えています。

殴ったり蹴ったりの暴力から身を守るために護身術を習うように、他人から洗脳されないために洗脳護身術を身に付けるための理論と具体的なトレーニング法が書かれています。

ただし、洗脳してくるのはカルト宗教やマルチ商法など明らかに胡散臭い人や団体だけではなく、国家やメディアといったものも対象になっています。

暴力に対しては、基本的に警察を頼るべきです。しかし暴漢や通り魔など街を歩いていていきなり襲われるようなタイプの暴力に対抗するためには、110番を呼ぶ時間を作るために、まずは自分の身を守る必要があります。

洗脳も本来は専門家に任せるべき分野ですが、相手の力量によっては瞬時に洗脳されてしまうことも考えられますし、そもそも洗脳されないのが一番です。

洗脳『護身術』とついていますが、本書に書いてあるのは消極的な技法だけではありません。洗脳からの防御技術はもちろん出てきますが、それにくわえて本書では逆に相手を洗脳してしまうようなきわめてアグレッシブな技法ものっています。

ちなみに本書では、危険を伴う秘術や私の持つすべてを開示するのは控えている。基本的には、既になんらかの形で国内外の学会で報告されていたり、海外の学術文献として出版されている方法論のみにとどめていることを予めご了承いただきたい。 16ページ

洗脳原論に引き続き、本書も巻末に参考文献や解説がのっています。公開されている情報を元に組み立てられた方法論なので、苫米地さんの本の中ではかなり信頼できる本だと思います。

そして基本的な技法だけだといっていますが、私たちからすると極めて高度なものを扱っているという印象です。

洗脳の理解に必要な概念

洗脳から身を守るには、洗脳のことをより詳しく知る必要があります。苫米地さんは洗脳を認知科学の観点から見た場合、以下の3つの概念を理解することが大事だといいます。

変性意識

変性意識状態は現実世界”以外”にリアリティを感じている状態だと苫米地さんは定義します。別の言葉で簡単に言うとトランス状態ともいえます。

大げさに聞こえますが、例えば映画を見てその世界観に夢中になったり、物語の登場人物に感情移入することです。特に珍しい現象ではないですし、あなたも経験があると思います。

カルト宗教で言えば、カルト宗教が作り上げた世界観にリアリティを持ってしまう=洗脳されたと言えます。宗教に神秘体験は付きものですが、これらを信じる(信じさせる)上でも相手を変性意識状態にすることが必要になってきます。

内部表現

内部表現(Internal Representation)は自分自身の脳や心で現実世界を表現することです。

これは広い意味で使われていて、神経伝達などの物理的なものから、感情や心の動きなど心理的なものも当てはまります。

カルト宗教の言葉や世界観を信じさせるためには、まず自分が変性意識状態になったたうえで、相手を変性意識状態に導くことが必要です。その上で内部表現、つまり心や感情、考え方などを書き換える必要があるというのです。

ホメオスタシス

高校の生物で習う概念で、ホメオスタシス(恒常性)は体内環境を保とうとする仕組みです。体温や血圧、心拍数などは一時的に変化することはありますが、普通は時間が経つと元の数値に戻ります。

ダイエットが失敗するのもこのホメオスタシスが原因と言われています。体が元の体重を維持しようとして、リバウンドしてしまうわけです。

苫米地さんはこのホメオスタシスが環境だけでなく、心や精神世界からも作用するといいます。例えば仲の良い人同士では呼吸や心臓の鼓動が同じようなタイミングで行われるそうです。ある人と仲が良い、親密であるというのは心の問題ですが、それが現実の体にまで影響するのです。このしくみを利用して相手の内部表現を書き換えるのです。

まとめると相手を変性意識状態にして、ホメオスタシスを使って相手の内部表現を書き換えるのが苫米地さんがいう洗脳の流れです。

洗脳護身術をマスターするための技術

当たりまえですが、本を読んだだけでは、護身術は身につきません。

例えばボクシングや空手などの格闘技であれば自分の体を鍛え、ジムや道場に行って動きを学んだ上で人を相手にスパーリング(組手)を繰り返す必要があります。意識せずにできるレベルまでいかないと、いざというときに役に立たないでしょう。

本書でも知識として洗脳護身術を学ぶだけでなく、体でマスターするための具体的なトレーニング方法が書かれています。

変性意識の生成

相手を洗脳するには、相手を変性意識状態にすることは当然ですが、その際には自分も変性意識状態になる必要があります。

洗脳から身を守る場合も自分が変性意識状態にならなければなりません。

苫米地さんは変性意識状態になることを、闘技場に上がることに例えています。ボクサーであればリング、相撲であれば土俵など競技によって闘技場の形は違います。共通しているのは、闘技場に上がらないと競技に参加することができない点です。

洗脳(護身術)という競技に参加するには、変性意識状態という闘技場に入ることが必要です。

そのための方法論も本書で書かれていますが、前にレビューを書いた『自分のリミッターをはずす! ~完全版 変性意識入門』のほうが内容が新しく、やることもシンプルなのでそちらをオススメします。

精神の基礎体力の育成

変性意識状態を操ることができたら、次に必要なのは精神の基礎体力を高めていくことだといいます。

精神力というと、かなりあいまいな表現ですが…私なりの解釈で大ざっぱに言うと想像力の豊かさとメンタルの強さだと思います。

カルト宗教の教祖でいえば、その教義を本気で信じられなければなりません。自分が本気で信じていないものを他人に信じさせることは難しいでしょう。その上で教義に対する批判に動じないようなメンタルの強さが要求されます。

そのために手っ取り早いのは武道を習うことだといいます。身体と心は密接な関係にあるからです。

剣道や柔道、空手などの武道を習得することで、身体が強くなっていき、身体が強くなると心も強くなるというのです。

その他には気功や仏教の瞑想が上げられていて、具体的なトレーニング法も書かれています。

マインドエンジニアリング(内部表現の書き換え)

精神がある程度強くなったら、ようやくマインドエンジニアリングを練習します。これは先ほどの内部表現の書き換えのことです。今までのは洗脳のための準備で、マインドエンジニアリングこそが本格的な洗脳技術といえるでしょう。

まず、自分の頭の中でイメージを作って、相手の頭の中に入れていきます。その際に利用されるのがホメオスタシスです。

具体的には心理療法の一種であるエリクソン派の方法論が使われます。

ミルトン・エリクソンはアメリカの精神科医で、催眠療法を使い、独特の心理療法を確立して多くの患者を救いました。故人ですが日本に来たこともあります。

エリクソン派の特徴として、人間の心に介入することに重点が置かれています。この介入的手法はまさに内部表現の書き換えです。技術としては催眠や暗示を使っておこなっていきます。

洗脳護身術をマスターする難しさ

本書を読めば洗脳護身術の方法論とトレーニング法を知ることはできますが、苫米地さんはマスターすることの難しさにも触れています。

それはモチベーションを保つことです。

これが格闘技であれば、練習を重ねれば目に見えてうまくなるし、身体も鍛えられるので、上達を実感することができモチベーションが保てます。

しかし洗脳護身術は上達したのかどうかが目に見えてわかりません。だからモチベーションを保つことが難しいのです。苫米地さんのような脱洗脳のプロやカルト宗教の教祖であればお金を貰っているし、使命感もあるのでモチベーションを保つことは難しくないと思いますが、そうでない一般の人には難しいと思います。

また、1人でトレーニングできないのも難しい理由と言えます。

変性意識の生成と精神の基礎体力の育成までは独学でもできますが、マインドエンジニアリングは相手がいなくてはトレーニングは難しいと思います。

格闘技に例えるならば筋トレや型、動きの練習などは1人でもできます。しかしスパーリング(組み手)などの対人練習は1人でできませんし、それを避けていては、格闘技をマスターしたとは言えないでしょう。

まとめ

苫米地さんの本の中でどれか一冊選べと言われれば、私は本書を選びます。

本書は洗脳の理論からトレーニングまで網羅されていて、かなりの情報量があります。

その方法論も気功や瞑想などの東洋の技術とエリクソン派の催眠療法を組み合わせた極めてユニークなものです。参考文献や解説が詳しく載っているのも評価できるポイントです。

けっして読みやすいわけではありませんが、大変親切で他にはない本だと思います。

ただし2003年と出版されたのがかなり前なので、その分野のことを詳しく知りたいのであれば最新の本をオススメします。変性意識であれば『自分のリミッターをはずす! ~完全版 変性意識入門』、気功は『夢が勝手にかなう「気功」洗脳術: 脳科学から見た「気功」の正体』瞑想は『思うままに夢がかなう 超瞑想法』などです。

特に『自分のリミッターをはずす! ~完全版 変性意識入門』は変性意識、気功、武道などトータルでかなり詳しく書かれているのでオススメです。

また、本書だけで洗脳護身術のある一定レベルまでは習得できますが、マインドエンジニアリングより先は苫米地さんの苫米地ワークス、クラブ苫米地やその他のセミナーに参加するか、エリクソンのように自分で方法論を作り上げる必要があります。

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