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大人が試される教育論『0歳から5歳の幼児教育』

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0歳から5歳の幼児教育

苫米地さんは教育についての本を数冊書いています。未成年向けのコーチングであるPX2の解説書『夢をかなえるPX2完全マスター―なりたい自分になれる!講義実録CD付き!』や、独自の教育論を展開している『頭のよい子の親がしている28の習慣~IQを高める天才思考~ (だいわ文庫)』は私も以前にレビューしました。

本書は幼児教育、具体的には0歳~5歳までの子どもに対して、親がどのように教育するべきかという内容です。PX2と同じように、基本的にコーチングをベースにしているので、よくある育児本とは違う内容で独自性があります。

苫米地さんの本にありがちな抽象的な内容ではなく、具体的でわかりやすいのも特徴です。子どもに対してやるべきこととやってはいけないことがシンプルに書かれています。

 

やるべきこと

  • 子どもを信じてあげる
  • 子どもをとにかく褒めてあげる

絶対にやってはいけないこと

  • 禁止すること
  • 怒ること
  • しつけをすること 722~735

本書のコアの部分は、上の5つになります。コーチングの理論を子どもに適応したもので、理論的にも納得できると思います。もっとも。しつけをしてはいけないというのは異論がありそうです。

それ以外にも幼児教育に関するQ&Aや、子どもの学力や体力、芸術などの力を伸ばすための教育法なども書かれています。

子どもを信じてあげる

とにかく子どもを徹底的に信じてあげることが必要だといいます。ベーシックトラスト(基本的信頼感)という概念があります。これは発達心理学者のエリク・ホーンブルガー・エリクソン(ミルトン・エリクソンではありません)が提唱しました。

このベーシックトラスト、つまり子どもが親に対して絶対的な信頼感を持っていること、そのためにはまず親が子どもを信じなくてはなりません。

これを本書では苫米地さん自身の子ども時代の話や、息子さんがアメリカ大使館のサマーキャンプに参加してアメリカ人の子どもとトラブルになったエピソードを例に説明しています。

ではなぜベーシックトラストが重要なのでしょうか?これには苫米地さんの友人である宮台真司氏の発言を引用して説明しています。

彼は以前、国会の「青少年問題に関する特別委員会」でこんな発言をしています。

「この複雑な成熟社会では、これさえすればおまえは幸せだとか、他人と同じようにやれば自分が幸せになるということはあり得ません。そのためには、多様な試行錯誤をする力が必要です。多様な試行錯誤をするには、しかし、失敗を恐れない力、あるいは失敗をくじけない力が必要です。(中略)失敗してもくじけない、失敗を恐れない力は、実は根源的な自尊心、あるいはベーシックトラスト、基礎的な信頼によって与えられます。つまり世界はオーケーだ、自分はオーケーだという感じです。それを与えるのが、実は発達の初期段階において接する大人、家族ですね」771

あなたもこれまでの人生で多くの失敗をしたと思います。試行錯誤するには、失敗を避けることができません。失敗したときに、くじけず次の挑戦をするには、ベーシックトラストが必要だというのです。

また苫米地さんがいう『セルフエフィカシー(自己効力感)』も欠かせません。

子どもを褒めてあげる

褒めることが人に良い影響を与えるのは、大人を対象とした研究でさんざん議論されているので異論は少ないと思います。しかし褒めてばかりで大丈夫なのか?という心配はあるかもしれません。苫米地さんは褒めるのと甘やかすのは違うといいます。

褒めるとは、何らかの行動に対する評価です。何かよい行いをしたから、しっかりと褒めてあげるのです。一方、甘やかすとは、単に子どもの欲求を受け入れるだけで、そこに行動に対する評価はありません。 764

学習においては、フィードバックが重要だと言われています。褒めるというのは、子どもが良いことをしたら、正のフィードバックを与えることです。

これならば問題ないでしょう。子どもの欲求をすべて受け入れいていたら、自分勝手に育つ可能性はありますが。

では、負のフィードバック、つまり子どもが褒められないようなことをしたときは?

ここで𠮟るのではなく、褒めずに評価が与えられない理由を説明すればいいと苫米地さんはいいます。

親が変わる必要がある

本書を読んで強く実感したいのは、子どもの教育は親の成長無くしてはできないということ。苫米地さんは親の行動が子どもに大きく影響を与えるといいます。

「放っておいても、子どもは親の真似をする」ということです。もし子どもを本好きにしたければ、まずは自分が本好きになることです。音楽や絵画に興味を持たせれば、自分が音楽を聴いたり、絵画を鑑賞したりすることです。親がピアノ好きで毎日弾いていたら、子どもは放っておいてもピアノが好きになります。

スポーツ好きにしたければ、まずはあなたが屋外へ出て積極的にスポーツを楽しむことです。子どもが活発に動けるようになったら、一緒に遊んであげることも重要です。

苫米地式の幼児教育メソッドの第一歩は、「子どもを変えたければ、まずは自分が変わろう」です。546

本書の方法は子ども以前に、親自身が試されていると思います。

勉強やスポーツなど親自身がやって見せなければいけませんし、𠮟ったりしつけたりせずに子どもを教育するといのは、親自身に心の余裕がなくてはできません。

書いてあることを実行するのは、簡単ではないと思います。本書では幼児に対する教育論を通して、苫米地さんが親の責任を問うているのではないでしょうか。

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